個人事業と法人のそれぞれの特徴を並べました。
まずは、こちらを参考いただきながら、以下の文章を読んでみてください。
項目 | 個人事業 | 法人 |
---|---|---|
法人格 | なし | あり |
信用力 | 低い | 高い |
資金調達能力 | 低い | 高い |
利益に対する税率 | 累進課税(最高50%) | 一定(22%、30%)※中小企業の特例あり |
他人からの出資 | 贈与税の対象となる | 資本金となり非課税 |
代表者の給与 | 経費にできない | 経費にできる |
代表者の退職金 | 支給できない | 支給できる(税金面で有利) |
交際費の損金算入枠 | 制限なし | 600万円まで |
欠損金の繰越 | 青色申告のとき3年 | 青色申告のとき7年 |
決算期 | 毎年12月 | 自由に設定可能 |
登記の有無 | なし | あり(登記コストあり) |
設立コスト | なし | 24万円ほど必要 |
経理処理 | 簡易な記帳でも可 | 厳密な処理が必要 |
会社を設立したいけど、
会社を設立するメリットは?
個人事業とどう違うの?
というご質問をよくいただきます。
ここでは、会社を設立するメリットとデメリットを簡単にまとめておりますのでご参考ください。
法人は個人事業と違い、「法人格」というものが法律で認められます。
その法人格を使い、法人名義で事業を行っていくことができます。
法人で事業を行うと、銀行口座や融資が法人名義で融資を受けられるようになったり、法人名義で第三者の保証人を用意することなく、事務所を借りられたりするようになります。
また、法人であると助成金をもらえる可能性が高くなります。
企業によっては「法人以外とは取引をしない」などの取引制限がある会社もありますので、ある程度の大きな規模の企業との取引が可能になります。
また、事業の継続性という面でも社会的な信用力が増します。
個人事業の場合は、事業主が亡くなると相続の観点から銀行の口座は凍結されますが、法人の場合は、たとえ事業主がなくなったとしても継続して事業の継続が可能です。
有限責任と無限責任という言葉があります。
個人事業の場合は「無限責任」で、法人の場合は「有限責任」となります。
簡単に言うと、無限責任というのは、全部責任をとるということ、有限責任というのは一定の決められた範囲においてのみ責任を取るということです。
個人事業が事業資金として融資を受けたあとに、この事業が継続しなかったとします。
その場合、この融資・借入金は個人に帰属しますので、個人の財産を処分してでも、債務の支払いはしなければなりません。
法人の場合は有限責任ですので、出資者が自分の出資分についてのみ責任を負うことになります。
法人が事業に失敗した場合は、経営者が法人の債務を個人保証した場合を除いては、原則として、法人の資産を処分して、債務の支払いを行い、経営者個人の財産にまで支払い義務が及ぶことはありません。
会社と個人は全く別の人格ですので原則として出資額の範囲内でのみ責任を負います。
ただし、金融機関から融資を受ける際に代表者個人を連帯保証人として求められることが多いので、その場合は、連帯保証人としての支払い義務があります。
よって事業規模が小さな法人では個人事業との差が少なくなる場合もあります。
法人にすると税法上のメリットがたくさんあります。
青色申告をしていれば赤字がでた場合でも、7年間その赤字を翌期に繰り越せます(個人事業の場合は3年)。
税法上の優遇措置(特別償却・特別税額控除)が利用できる他、消費税が2年間免税(資本金1,000万円以下の場合)になります。
また、経営者に給与をしはらうことで給与の所得控除を利用できたり、退職金や生命保険料を経費にしたりすることができます。
個人事業では必要経費に出来なかったものを必要費用にできることで、所得を圧縮することができ、節税効果に期待できます。
所得税は累進課税ですが、法人税の税率は一定(22%、30%)です。
個人事業として所得税が適用されるか、会社にして法人税が適用されるかで事業にかかる税金の額も変わってきます。
また、法人事業の場合、経営者または経営者の家族へ退職金を支払うことができます。
生存退職金は、退職所得になり所得税は軽減されます。
死亡退職金は、みなし相続財産となり、非課税額も大きいので税務上有利です。
個人事業の場合では、事業主または事業主と同一生計内の親族へ退職金を支払うことは出来ません。
会社をつくるには、最低でも株式会社は定款の認証費用(個人で行った場合約92,000円。専門家に依頼した場合でも52,000円)、と登録免許税(15万円)を合わせて、約240,000円の費用が必要です。
それに加えて、資本金も用意しなくてはなりません。
何も活動をしていなくても、地方税として、均等割が7万円かかります。
また、株式会社ならば、定期的な役員変更の登記が義務づけられています。
会計も、個人事業であれば、白色申告として複式簿記でない会計帳簿が認められていますが、法人の場合は、必ず複式簿記で会計を行う必要があります。
取締役と監査役の任期は、最長10年ですが、定時の役員変更が義務付けられています。
それぞれ決算期の3ヶ月以内に株主総会、取締役会で役員の選びなおしをしなければなりません。
以上のようなメリット・デメリットを考慮したうえで、法人化(会社設立)するかを決めなくてはなりません。
法人化(会社設立)の判断に迷ったら、お気軽にご相談ください。
法人化後のシミュレーションをした上で、最適な方向性を提案させていただきます。